水墨画作品の創造とは     王俊宇瀟

 創造が無ければ芸術としての作品が生まれない。
 水墨画作品の創造は二つの要素がある。

 第一に、一般的に具象や半具象的な作品の場合、対象物を画家の視覚を通して心眼へと進み、現実的な存在を芸術的な存在へと昇華させる事である。たとえ写実的な作品であろうと、ただ現実の真似や模倣或は再現ではなく、作品としての対象物はすでに現実の世界から離れ、芸術の世界にある対象物になる。創造活動によって作品に描かれた山や華は現実の山や華ではなくなり、もはや独立としての芸術的な存在になる。写実であろう抽象であろう、また写意にしろ工筆にしろ、様式や技法問わず現実から距離を置く事は創造の第一歩ではなかろう、特に水墨画独特な大写意や溌墨といった手法や発想がその創造性を最大限に表すものだと言える。そういう意味で、水墨画の創造性は先ず現実的な存在を芸術的存在へ進化させた事にある。

 しかし、この様な現実を芸術に昇華させる内的な要素は水墨画を含め造型藝術全般に共通するものでもあり、この意味での創造は水墨画の歴史が始まってからすでに確立され今日までも続けられている。ならば、伝統のままで自然から脱却してさえすれば創造的な作品が生まれるかというと、それでけでは十分とは言えないものである。要するに、伝統を習得しながらも、前人と違う何かを加えて進化や変革させないと、結局創造とは言えるものにはならない、昔のままでは当然創造性に欠ける事は誰でもわかる事であろう。つまり表現上のスタイル或は様式の創造も必要不可欠である。
 
 創造性の内的な要素は普遍不変の本質的な部分であるのと違って、様式やスタイル等外的な部分は常に進化しつつ、いつの時代に於いても新たな表現が求められる。この表現の進化があるこそ水墨画の歴史が成り立ち、また多彩多様になり私たちを楽しませてくれる。水墨画の歴史はイコール様式とスタイルの歴史と言っても過言ではない。そういう意味から見ると、個性的なスタイルの模索や新しい様式の探求と時代に適応する知的な思考は水墨画の創造性に於いて大変重要であり、又無限な可能性が秘められている、われわれを大いに楽しめる部分でもあり、そして我々水墨画制作に携わる人間に課せられる最も重要な課題でもある。

 現実への模倣からの脱却と、前人への摸写からの脱却;現実の世界を芸術の世界に昇華させる内的な創造と、個性的で独自な表現スタイルを確立する外的な創造、水墨画の創造がこの二つの側面を意味するものではなかろう。


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