水墨画、スタイル創造の道のり(一)  王俊宇瀟

 芸術としての水墨画は、その創造性の意味が殆どスタイルの創造にあると考えている。
 
 スタイルの創造がどのように生まれるかは人ぞれぞれのきっかけや方法論があるので、一概に総括出来るものではないが、しかし、やはり大まかなの基本ルールーや評価基準が存在するに違いないと思う。

 個人的な経験も踏まえて整理してみるといくつかのポイントが見えて来る。
 
 先ず第一に、スタイルの創造は“自然”の道のりでなければ行けないところにある。
 要するに、新しいスタイル(画風)を創造するには、他人に云われる事でもなく、自分自身が無理して求める事でもなく、必ず画家自身が“自然”に新しい画風を創りたくなり、思考と実験を積み重ね、その結果が新しい画風が誕生する。

 大概絵画をはじめる人は、絵がうまい者の様に上手に描きたい事を目標とする。無論“上手い”という基準も人様々では有るが、一般論として、正しい指導の基で王道に沿って謙虚に努力すれば、殆どの方が“上手く“描く事は出来る。しかし個々の描き手がそれぞれ己の“うまい”基準に満たし、上手に描くという最初の目標に達成した後、絵描きの考え方や対応が分かれる。

 上手に描く事に満足していれば、いつまでも“上手な”絵を描き続けられ、新たな悩みに苦しむ事もなく、メデタク幸せな絵描きになれる運命である。
 一方、“上手に”描くという最初目標に達成したものの、不幸にも“上手い絵”だけでは満足出来なくなる欲深い絵描きも居る。他人同様に“うまく”描く事に飽きてしまい、他人の作品と差別化するためもっと個性的な作品を創りたくなる,つまり新しいスタイル創造のが始まりである。
 しかし、“上手く描く”という目標は大概具体的な形が見える、例えば対象物を正確に描くとか、或は墨の階調と線の抑揚を上手くコントロールするとか、又は迫力ある画面構成にしたいとか、、、等々。これらと違って、個性的且つ新しいスタイルと言う目標は、今までにないスタイルの模索ですから、そのスタイルが一体どの様なモノなのかは全く見当も想像もつかない、そういう意味で云うと、新しいスタイル創造の道のりは、只“うまく描く”事より遥かに困難であり、勇気と信念そして根気が必要不可欠である。

 喩えをすれば、“上手く”描く努力は明るい環境で引かれた道に沿って見える目的地に一生懸命歩く。一方新しいスタイル創造の道のりは暗闇の中で行った事もない新天地に進むことになり、当然ながらそこには既成の道など一切無く、有るのは山や谷そして前進を阻む川といった原風景のみであり、その道のりは当然大変困難であり無駄道も多いであろうし、しかも新天地に到達出来る保証は何処にもない。それでも原風景の中で前人未到の道を見つけ己の目標に進む冒険的な醍醐味は、既成の道を無難に歩む者達が到底味わえないモノである。

 この様に、大勢が歩く同じ道に飽きるこそ、“自然に”前人未到の新天地を求めたくなる、原風景の中で己の道を模索し独自の新天地を開拓する意欲が水墨画の新しいスタイル創造の源であり第一歩ではなかろうか。
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