水墨画、スタイル創造の道のり(二)  王俊宇瀟

 創作の視点で、自らの作品も含めて既存作品に物足りなさを感じ、自分なりの独自の世界を切り開けたい意欲が水墨画新しいスタイル創造の素朴な動機であろう。
 しかし、立派な動機が有って正しい方法論と地道な努力がなければ良い結果が得る事は難しい。

 水墨画の新しいスタイルと言う以上は、先ず“水墨画”という基点から思考し実験しなければ行けないと考える。
 つまり、油や松の枝等を燃やして得た煤が膠と結合して出来た墨を、紙絹といった材料媒体に描き落す際に生まれた滲みや弾き、或は奇妙ともいえる階調豊かな濃淡変幻、それに加え、剛柔多様な筆を駆使して様々な角度と方向或は力加減で描かれた感情的な筆跡、、、墨と筆或は紙絹といった基本素材と道具を組み合わせる事で、どんな新しい可能性があるかを模索する事が、水墨画新しいスタイルの誕生に繋がる王道ではないかと思う。
 極端な例を挙げてみると、たっぷりの墨を空中に向かってこぼす、こぼす力の加減と地球の重力によって生まれた墨の形や軌跡をカメラに写し留めて作品にする場合、この場合でも、墨による表現は間違いないが、一般論としての新しい“水墨画”と認識するにはやはり低抗がんが有るであろう。なぜなら、この場合、紙絹の上に生まれた墨韻もなければ筆による抑揚な筆跡もない、水墨画として最も特徴的で味わい深い部分がいずれも欠けているので、“新しい”スタイル言えるながらも、新しい“水墨画”のスタイルと言うには無理が有る。

 墨と筆を極める王道と言える道に沿って新しいスタイルを模索する者は大勢居る中、如何に自分らしい画風を確立するには、墨紙など素材に対する理解を深める事や筆等道具を扱う訓練などは必要不可欠なのは言うまでもない、しかし、素材道具の技など物理的な要素は努力と訓練をすれば殆どの方が大概同等な成果と結論が出る。ここからさらに他人と違い独自なスタイルを打ち出すには、時代と地域の審美習慣や鑑賞環境を独自な観察と思索が欠かせないし、その中で画家自身がどんな素材と道具をどのように駆使すれば地域的時代的な“美”に合う水墨画が可能かを探る必要が有る。こう言うと、時代や地域共通の美意識や習慣に媚びる様に聞こえますが、実際、人間がその時代と地域に生活する以上、時代地域の鑑賞習慣や美の理想などが自然に心の奥に染み込むもので有り、そして時代や地域に共通する美意識が画家個々の感性と理解によって加味され、藝術家個人の理想美となって行く。問題は、水墨画新しいスタイル創造するにあたって、時代や地域或は画家個人の理想美のどの部分をどのように掘り起こし、どのように筆墨と結びつくかに尽きると思う。
 つまり、筆墨が時代地域の理想美と結ぶ付くには画家が何が出来ることを問わなければならない、つまり画家が自分自身に対する理解と評価も必要になる。たとえプロの画家と言っても、神様でない以上、やはり出来る部分と出来ない部分が有り、出来る部分の中でも得意なものと得意でないものも有る。例えば、有る人が墨の暈しに関して独自な実験を行う上自分なりの心得を持つとする、つまり墨の暈しが得意である、そうなると墨の表現力を全面に打ち出すことはその人の新しい画風に繋がる事が自然な成り行きであろう。まだ筆を駆使して面白い表現法を身につけた人はその筆遣いを以て新しいスタイルを模索するであろう。大胆な方は自然に力強い画風を好み、繊細な方丁寧な細かい画風に目を向き、それぞれ進むべき方向に歩み自分独自なスタイルを模索することはごく自然な事といえる。

 要するには、画家が得意な分野を以て自分の心に染み込まれた理想美と結びつく事は個性的な新しい水墨画スタイルを創り出す自然且つ必然な道のりではないかと考える。

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