水墨画の楽しみと悩み   王俊宇瀟

 水墨画に限らず、何であれ、創作行為は楽しみと悩みの両方を持ち合わせる性質がある。
 新しい作品が生まれる期待と今までの自分を否定する思索はその両方を象徴するように、矛盾し乍ら創作活動を支え、どちらも欠かせない側面と言える。

 しかし、所謂「創作」とは異なり、遊ぶ気持ちで描く水墨画は楽しいのみである、例えば、純粋に教養を深め、個人の精神生活を豊かにする為に教室で水墨画を楽しむ場合はそうである。又、私の場合、創作の領域と違って、観察力や線の練習のため時々参加する裸婦の写生もそうである。目の前にいるモデルさんを見たままに描けば済む事であり、ややこしい素材の選択や技法の応用など脳細胞を大量に死なせる思考一切無用であり、実に楽しい!

 ところで、文人画の世界では、時々目にする「戯筆」「戯墨」「戯寫」という落款がある、如何に楽しく作品を描いているように思われる。しかしこの場合は文字通り鵜呑みにしては行けない事を注意すべきである。この様な作品は、本当に素直に楽しく描かれる場合もあれば、単なる文人達の建前の場合も多い事と容易に推測出来る。あまり苦労せずにこんなに佳い作品を描いた隠れた自慢と、制作の苦労を見せず楽しく見てもらいたい鑑賞者の対する心遣いの両方が感じさせられる。

 一方、裸婦のデッサンは、本当に楽しい!
 特に、研究熱心で躍動感溢れるボーズが多いモデルさんに出会う場合は、尚更楽しい!


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